遺言書の種類に迷う方へ、選び方のポイントを解説

遺言書について調べていると、「自筆証書遺言」や「公正証書遺言」など、専門用語がたくさん出てきて混乱してしまう方も多いのではないでしょうか。どちらが自分に合っているのか判断できず、作成を後回しにしてしまうケースもあります。

この記事では、相続・遺言の実務に携わる行政書士が、それぞれの遺言書の特徴や選び方をわかりやすくご紹介します。さらに、最近注目されている「法務局による自筆証書遺言保管制度」についても取り上げ、あなたに最適な遺言書選びをサポートします。


遺言書の種類と特徴

自筆証書遺言とは

全文を自筆で書き、日付・署名・押印を行う形式の遺言です。

  • 費用がかからない
  • 手軽に作成できる
  • 秘密にできる

ただし、法的な形式不備で無効になるリスクや、紛失・改ざんの恐れもあります。また、相続開始後に家庭裁判所での「検認」手続きが必要です。

公正証書遺言とは

公証人と2名の証人の立ち会いのもとで作成する遺言書です。

  • 法的に確実で安心
  • 原本が公証役場に保管される
  • 検認不要でスムーズに相続手続きへ移行

作成には手数料がかかり、事前の資料準備や証人手配が必要です。


比較表:自筆証書遺言と公正証書遺言の違い

比較項目自筆証書遺言公正証書遺言
作成費用ほぼ無料数万円(財産により異なる)
手間自力で作成公証人との打合せが必要
保管方法自宅または法務局公証役場で保管
検認の要否必要不要
無効リスク高い(形式不備等)低い
秘密性高い(ただし紛失リスク)低め(証人が必要)

ケーススタディ:どちらを選ぶ?

ケース1:とにかく費用を抑えたい

自筆証書遺言

筆記具と紙さえあれば費用はほとんどかかりません。費用面を優先したい方には適しています。

ケース2:相続人同士の争いが心配

公正証書遺言

公証人が関与し、形式的な不備が起こりにくいため、後日の争いを防ぎやすいです。

ケース3:手が不自由で文字を書くのが難しい

公正証書遺言

本人が署名できなくても、口述により作成可能です。

ケース4:家族に知られずに遺言を残したい

自筆証書遺言+法務局保管制度

秘密性を確保しつつ、改ざん・紛失のリスクも低減できます。


法務局の自筆証書遺言保管制度とは?

令和2年7月からスタートした新しい制度で、自筆証書遺言を法務局で保管できるようになりました。

主な特徴:

  • 検認手続きが不要になる
  • 保管証が発行され、本人死亡後に開示請求可能
  • 改ざんや紛失を防げる

注意点:

  • 手数料(1通につき3,900円)がかかる
  • 本人が法務局に出向く必要がある

「自筆証書遺言は心配だけど、公正証書にするほどでも…」という方には非常に有効な選択肢です。


まとめ:あなたに合った遺言書を選ぶために

それぞれの遺言書にはメリット・デメリットがあります。大切なのは、「誰に」「何を」「どのように」遺したいかを明確にすること。そして、その目的を実現するために最適な形式を選ぶことです。

「どちらを選ぶべきか迷っている」「そもそも遺言書を書くべきか分からない」

そんな方は、ぜひ当事務所の無料相談をご利用ください。相続・遺言に特化した行政書士が、あなたの状況を丁寧にヒアリングし、最適な選択を一緒に考えます。

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