終活を考えるときに、「見守り契約」や「見守りサービス」という言葉をよく見るようになりました。

「見守り契約とは、具体的にはどのようなことをしてもらえるのでしょうか?」

このようなお問い合わせをいただくことがあります。

「見守り」という言葉から、警備会社の緊急通報・駆けつけサービスや、自治体などが行う高齢者の安否確認サービスをイメージされる方も少なくありません。

行政書士などの専門家と結ぶ「見守り契約」は、こうしたサービスとは少し役割が異なります。

この記事では、見守り契約とはどのような契約なのか、どんな人に向いているのか、任意後見契約との関係や費用、他の見守りサービスとの違いについて解説します。

見守り契約とは?

見守り契約とは、高齢者などと定期的に連絡や面談を行い、生活状況や健康状態などを確認しながら、必要に応じて相談に対応する契約です。

法律で内容が一律に定められている契約ではないため、具体的なサービス内容や連絡頻度などは契約によって異なります。

たとえば、

  • 月1回程度、電話や面談で近況を確認する
  • 健康状態や生活上の困りごとを確認する
  • 相続・遺言・終活などについて相談に応じる
  • 判断能力に変化がないかを継続的に確認する

といった内容が考えられます。

特に、任意後見契約と組み合わせる場合には、本人の判断能力の変化を継続的に確認することが重要な目的の一つとなります。

どんな人に見守り契約が向いている?

見守り契約は、特に次のような方に利用価値があります。

  • 一人暮らしをしている
  • 子どもや親族が遠方に住んでいる
  • 身近に頼れる親族がいない
  • 将来、認知症になったときのことが心配
  • 今は元気なので財産管理などを頼む必要はない
  • 将来、専門家に任意後見人を依頼したい

反対に、近くに住む家族と頻繁に連絡を取り合っており、その家族を将来の任意後見人にする予定であれば、あえて有料の見守り契約を結ぶ必要性はそれほど高くない場合もあります。

「高齢になったら見守り契約が必要」というものではなく、家族関係や生活状況に応じて必要性を考えることが大切です。

民間警備会社の見守りサービスとは何が違う?

「見守りサービス」と聞くと、警備会社などが提供している高齢者向けサービスを思い浮かべる方もいるでしょう。

これらと専門家との見守り契約は、どちらが優れているというものではなく、そもそもの目的が異なります。

専門家との見守り契約民間の見守りサービス
主な目的将来に向けた継続的な支援日常生活の安全・安否確認
定期的な相談サービスによる
緊急通報原則として×○の場合がある
緊急時の駆けつけ原則として×○の場合がある
センサーによる安否確認×○の場合がある
遺言・後見などの相談原則として×
判断能力低下への対応任意後見等につなげられる原則として別途対応

たとえば、一人暮らしの方が「自宅で倒れたときにすぐ誰かに来てもらいたい」という場合には、警備会社等のサービスの方が目的に合っています。

一方、「元気なうちから専門家と関係を作っておき、将来認知症になったときにも支援してほしい」という場合には、専門家との見守り契約が選択肢になります。

もちろん、両者を併用することもできます。

日常的な安全確認は民間の見守りサービス、将来の法律面・財産管理面の備えは専門家との見守り契約、と役割を分けることも一つの方法です。

見守り契約は任意後見契約と併用されることが多い

見守り契約と一緒に利用されることが多いのが「任意後見契約」です。

任意後見制度とは、本人に十分な判断能力があるうちに、将来判断能力が低下した場合に備えて、自分が選んだ人に財産管理などを任せる契約をしておく制度です。

実際に判断能力が低下した後、家庭裁判所によって任意後見監督人が選任されると、任意後見契約の効力が生じます。

つまり、

元気なうち → 見守り契約

判断能力が低下した後 → 任意後見契約

というように、時期によって役割が変わります。

なぜ見守り契約と任意後見契約を併用するの?

任意後見契約は、契約しただけでは直ちに財産管理などが始まるわけではありません。

たとえば60代で任意後見契約を結び、その後80代まで元気に生活することもあります。

その間まったく連絡を取っていなければ、任意後見受任者は本人の判断能力が低下したこと自体に気づけないかもしれません。

そこで、定期的に連絡を取る見守り契約を併用します。

本人の状況を継続的に確認し、判断能力の低下が見られるようになったら、医師や家族などとも相談しながら任意後見を開始すべきか検討することができます。

特に、家族ではなく行政書士などの専門家を任意後見受任者にする場合には、見守り契約を併用する意味が大きくなります。

財産管理委任契約とはどう違う?

見守り契約を結んでも、本人の預金を管理したり、本人に代わってさまざまな手続きをしたりする権限が当然に与えられるわけではありません。

判断能力は十分にあるものの、身体が不自由になったなどの理由から財産管理や手続きを継続的に任せたい場合には、「財産管理委任契約」を利用する方法があります。

たとえば、

元気で自分のことができる
→ 見守り契約

判断能力はあるが財産管理などを任せたい
→ 財産管理委任契約

判断能力が低下した
→ 任意後見契約

と考えると、それぞれの役割が分かりやすいでしょう。

ただし、財産管理委任契約もすべての方に必要なわけではありません。

自分で財産を管理できている間は見守りだけにしておき、必要になったときに財産管理の方法を改めて検討することもできます。

死後事務委任契約との関係

もう一つ、一人暮らしの方や頼れる親族がいない方の場合に検討したいのが「死後事務委任契約」です。

任意後見契約は本人が亡くなると終了します。

そのため、葬儀、納骨、住居の明渡し、行政機関への届出など、亡くなった後の手続きを任せたい場合には、別途、死後事務委任契約を検討することになります。

その人の状況によっては、

見守り → 任意後見 → 死後事務

と、生前から亡くなった後まで切れ目なく支援する仕組みを作ることもできます。

ただし、死後の手続きをしてくれる家族がいる場合などには、すべての契約をセットで結ぶ必要はありません。

必要なものだけを選ぶことが重要です。

見守り契約の費用は?

見守り契約の費用は?

見守り契約の費用は法律で決まっているものではなく、依頼する専門家やサービス内容、連絡・訪問の頻度などによって異なります。

一般的には、契約時に契約書作成費用として数万円程度、その後の見守りについて月額5,000円~1万円程度を設定している専門家が多く見られます。

電話やメールによる定期的な連絡だけでなく、毎月の訪問や緊急時の対応などを含む場合には、月額1万円を超えることもあります。また、訪問や同行、緊急時の駆けつけなどについて、別途料金を定めている場合もあります。

そのため、単純に月額料金だけを比較するのではなく、

  • どのくらいの頻度で連絡を取るのか
  • 定期的な訪問が含まれているのか
  • 相談対応はどこまで含まれるのか
  • 緊急時にはどのような対応をしてもらえるのか
  • 任意後見契約などと組み合わせる場合の費用はどうなるのか

といったサービス内容を確認しておくことが大切です。

なお、見守り契約を任意後見契約などと一緒に公正証書で作成する場合には、専門家への報酬とは別に公証役場へ支払う費用が必要になることもあります。できる専門家を決めておきたい場合には、専門家との見守り契約を検討する意味があります。

まとめ|見守り契約は「将来に備えて関係をつないでおく」ための契約

見守り契約は、単に高齢者の安否を確認するためだけの契約ではありません。

本人が元気なうちから定期的にコミュニケーションを取り、生活状況や希望を把握しながら、必要になったときに任意後見などの支援へつなげていく役割があります。

一方で、家族による十分な支援がある場合など、見守り契約を必要としないケースもあります。

大切なのは、見守り契約、財産管理委任契約、任意後見契約、死後事務委任契約をすべてセットで考えるのではなく、「自分にはどこまでの備えが必要なのか」から考えることです。

👇 見守り契約や任意後見契約を検討中の方へ

見守り契約や任意後見契約は、すべての方に必要なものではありません。

家族構成や生活状況、財産、将来への希望によって、必要な備えは一人ひとり異なります。

OWL行政書士事務所では、「終活スタート診断」を通じて、現在の状況や将来への希望をお聞きしながら、これから考えておきたいこと・準備しておきたいことを一緒に整理します。

「見守り契約が必要なのかわからない」
「任意後見や遺言も考えた方がいい?」
「何から終活を始めればいいかわからない」

という段階でも構いません。

まずは今の状況を整理するところから、終活を始めてみませんか?